2007/01/14
更新:2007/01/21

<< 前のページへ
その3ではもう少し実際の使用状況が分かりやすいように例を挙げてみたいと思います。そして、Windows
エクスペリエンスインデックスの課題というか問題点も合わせて記したいと思います。
※ この記事へのリンクは...
http://www.rainylain.jp/vc/vista/experience_index.htm
※ この記事は独自に作成/掲載しているものですので、内容についてマイクロソフト様などに問い合わせ等行わないように
お願い致します。
■活用想定例 - メーカー製PCのBTOにおけるパーツ選択(必要なのは実測データベース?!)
BTOとは受注生産方式のことで、PCにおけるBTOを分かりやすく言うと「PCを販売する際に購入者の好みでパーツ構成を選べる仕組み」を用意したものともいえます。具体的なメーカを挙げるならDELLや日本ヒューレット・パッカード、NEC、エプソンダイレクト、東芝、などがあります。他にもショップブランドPCなどでもこの方式をとっていることが多いです。
例えばこれまでなら「何かすごそうなスペック」が記載されているだけで、PCに詳しくない人にはチンプンカンプンな物になっていたところが、エクスペリエンスインデックスのスコアを併記することで自分が要求する処理能力(残念ながらこの場合は何が出来るかとかではないですが)を持っているかを知ることが出来ます。
また、CPUではIntelやAMD(Athlon)、GPUならnVidia(GeForce)やATI(Radeon)といったメーカー間の比べにくい処理能力差がひと目で分かりやすくなる利点もあります。
*1 実用例を示すデモです。実際に販売してはいません!
*2 スペックに対するスコア値はテキトウです。ごめんなさい m(__)m
RLコンピュータ 今月のお勧めPC!
Intel CPU搭載の Windows エクスペリエンス インデックス スコア5.4のハイスペックPC!
RL2007-RXI2 キャンペーン特別価格:258,000円(税込み)
 |
OS |
Windows(R) Windows(R) Vista Home Premium |
CPU |
Intel Core 2 Duo プロセッサー E6600(4MB
L2、2.40GHz) |
メモリ |
2GB(1GB×2)デュアルチャンネル DDR2-SDRAMメモリ |
ハードディスク |
300GB SATAII HDD |
グラフィック |
nVidia GeForce 7600GT |
光学ドライブ |
スーパーマルチ ドライブ |
モニタ |
20インチワイドTFT液晶モニタ(WUXGA) |
AMD CPU搭載の Windows エクスペリエンス インデックス スコア5.4のハイスペックPC!
RL2007-RXA2 キャンペーン特別価格:258,000円(税込み)
 |
OS |
Windows(R) Windows(R) Vista Home Premium |
CPU |
AMD Athlon64 X2 5200+ |
メモリ |
2GB(1GB×2)デュアルチャンネル DDR2-SDRAMメモリ |
ハードディスク |
300GB SATAII HDD |
グラフィック |
ATI Radeon X1900 Pro |
光学ドライブ |
スーパーマルチ ドライブ |
モニタ |
20インチワイドTFT液晶モニタ(WUXGA) |
RLコンピュータ 今月のカスタマイズPC
|
BTOにおけるスコア値の活用例
この例では、いとも簡単にスコア値を表示していますがちょっと待ってください。Windows エクスペリエンス
インデックスとは実測値でスコアを決定すると(その1)で記しました。「今月のお勧めPC!」では決まった構成での販売なので、実際に販売するPCで測定すればスコアはすぐに分かります。ですが、「今月のカスタマイズPC」ではどうでしょうか?
スコアに関係無いOS、光学ドライブ、モニタを除くとパーツは全部で4種類あります。組み合わせはCPU 3種類×メモリ
3種類×ハードディスク3種類×グラフィック3種類で81パターンもあります。さらに例えばCPUに上位のもの1つを加えようものなら27パターンも増えて108パターンにもなってしまいますが、これら全パターンを組み立てて測定しなければならないことになります。
もちろん販売するPCは1つではなくCPUがAMD製品だったり、省スペースPCだったりしてどんどん測定しなければならないパターンが増えていきます。つまり、スコア値を正確に表示したければ、膨大なパターンの測定データとそれを収めるデータベースが必要になってきてしまいます。大手PCメーカなら(大手ならその分パターンも多いでしょうが)力技で何とかなるかも知れませんが、ショップブランドのPCでそこまでのコストをかけられるかは疑問です。
■活用想定例 - アプリケーションが要求するスコア値(必ずしも要求される処理能力と一致しない)
(その2)で「ソフトウェアを購入する際の適合性」の指針として利用
できると記しましたが、果たして本当にそうなのでしょうか?
PCの処理能力が問われるシーンとして例えば以下のような事が考えられます。
- 最新の3Dゲームをプレイしたい
- 携帯音楽プレイヤー用にエンコードを大量に行いたい
- ハイビジョン画像を加工したり視聴したい
これらを実現するソフトウェアが要求するスペックは確かにどれも高いだろうと予想できますが、2番のエンコードのようなひたすら音源を圧縮音声とするための計算を行っているような場合にグラフィック能力が問われるでしょうか?
おそらく一番必要なのは高速なCPUです。メモリ容量もハードディスクの読み書き速度も極端なスペックは必要無いでしょう。そうすると例えスコア値が低くともサブスコアのうち「プロセッサ」の値が高ければ十分であると言えるでしょう。
このようにソフトウェアが要求する処理能力がサブスコアの1つに極端に偏るような場合は、スコアを表示するのではなく、サブスコアを表示する方が適正であるといえます。この点を踏まえてMS
大塚氏に質問してみましたのでその回答などをまとめてみます。
- スコアではなく、サブスコアを表示する事について
→ 場合によってはそういうのもアリではないかと思う。
また、そういった場合はスコアとは別にこれまでどおりにCPUの種類やクロックといったものを
併記すれば良いと思うとも仰っていました。
- サブスコアが今後変更される可能性について
→ おそらく変更はないだろう。
追加はありえるかも知れないが、項目そのものが無くなったり変更されたりはないと思う。
この点については(その2)でプログラムのサンプルを作っていて確かにそうだと私も思いました。
サブスコアの組み合わせを示すようなフラグやバージョンといった情報欄がありませんし、今後
拡張するにしても互換性の問題(発売済みの製品の表示がいつか適用されなくなっては困りもの)
もありますし、プログラム的にも別のインターフェースを用意しなければならなくなります。
(“Win32_WinSAT2”クラスとか?もっとも今のサブスコアから増やす項目も思いつきませんが)
これら2つの例も踏まえて、最後に簡単にまとめてみたいと思います。
■「Windows エクスペリエンス インデックス」まとめ
- 「Windows エクスペリエンス インデックス」はPCの性能的快適さを表す指標である
- スコアはそのPC上で測定した処理能力値に基づくものである
- ベンチマークのように処理性能値がそのまま評価値(スコア)とはならない
- スコアを利用したパーツ構成の提案にはパターン網羅した実測データベースが必要になる
- スコア表記はソフトウェアが要求する処理能力と必ずしも一致するものではない
(サブスコアの利用や、これまでと同じ様にスペックを併記するなどの工夫は可能である)
■おまけ - Aero利用条件
ショートカット:
http://www.rainylain.jp/vc/vista/experience_index3.htm#Aero
Windows
Vistaにおいて快適さを言うのならAero(エアロ)は必要だと思いますので参考までにAeroが有効となる条件を記しておきます。単なる視覚効果だから好みで要らないという方もいらっしゃるかもしれませんが、基本的にはAero状態の方がCPU負荷が低くなります。システムを軽くするために
Windows XPまでのように視覚効果を解除するという考え方はVistaでは得策ではありません。
(ノートPCで購入時にAeroが解除されているのはバッテリ消費を抑える目的と思われます)
|
最低要件 |
利用不可例 |
OS |
Windows Vista Premium/Business/Ultimate |
Windows Vista Home Basic |
グラフィックス
機能 |
DirectX 9以上対応のGPU
(ハードウェア Pixel Shader 2.0 以上) |
・GeForce FX 5800より以前のもの
・RADEON 9500/9700より以前のもの
・Intel 915Gより以前のもの |
ビデオメモリ |
SXGA(1280×1024)未満なら64MB以上
SXGA〜UXGA(1920×1200)までなら128MB以上
それ以上は256MB以上が必要 |
グラフィックス メモリ帯域1.6Gbytes/s 未満
・AGP 4×
・Intel 945Gより以前のもの? |
メインメモリ |
グラフィック統合型チップなどのメインメモリ共有型
の場合は512MB+必要量以上の搭載
→例えばSXGAなら640MB以上 |
グラフィック統合型チップ利用でシングル
チャンネル構成となる場合(容量の違う
メモリを刺している場合など)は帯域が
不足する可能性アリ |
ドライバ |
WDDM対応ドライバ |
Windows XP用ドライバ |
設定 |
32 ビットカラー |
|
メモ
- グラフィックス メモリの帯域を測定するには"WinSat.exe dwm" の「Video Memory
Throughput」値[MB/s]
- グラフィック関連スコアが2.0以上になっていないとAeroは解除される

|