4/29から全世界でWindowsの自動更新でIE8の配布が始まっていますが、日本においてはゴールデン ウィークを考慮して延期されてい ました。これについて昨日付けで5/25の週からこれが開始されるとの案内がありました。
なお、自動更新といってもセキュリティパッチのように意識しないでもインストールされるようなものではなく、管理者権限があるユーザーがログオンしている際にインストールするかを問う画面が表示されてからインストールが開始されるという仕組みとなっています。 (IE6からIE7への更新の時と同じです)
Internet Explorer 8 の自動更新による配布について
http://technet.microsoft.com/ja-jp/updatemanagement/dd365125.aspx
Windowsの設定などによっては既に自動更新の通知を受けている方もいらっしゃると思いますし既にインストールしてお使いの方も増えてきていると思います が、改めて利点や注意点などを挙げてみたいと思います。
【利点】
【注意点】
さて、ではここからは個々の利点・注意点の解説や対処などの説明をしたいと思います。
まずはある意味においては一番重要となる「Webの標準に準拠している」です。
標準ならいいじゃんと思われる方が殆どだと思いますが実は問題があります。それはWebページの見た目です。WebページはHTMLというものを使って記述してあり、それがIEなどのブラウザで現在ご覧のこのページのように絵や色などが付いて表示されます。このHTMLの書き方、表示のされ方が標準に準拠したという話で、これまでのIE6やIE7までの独自的な部分が通用しなくなり製作者の意図したものと異なる表示が行われるという問題に発展します。
IE7でもWeb標準をある程度うたっていたのですが、IE7は動作が不安定だったりページの表示速度向上が微妙だったりでインストールしていない方も多いと思います。逆にこれが長く続いたIE6に依存したページの多さを解消しずらくしてしまっていた側面もあるかと思います。またIEなんて使ってなく、Mozilla FirefoxなどWeb標準を早くからうたっているブラウザを使用しているという方も多くいらっしゃるかと思いますが、それでもIE6依存のページ表示で問題が顕著化するわけではあまり無かったのでやはりIE6依存のページの多さを冗長していました。
別にWeb標準でページを作っていなかったのが悪いとかそういう話ではありません。
かく言う当サイトでもIE6で意図したように表示されていればOKとしていましたし、よく「IE6で表示確認しているので、IE6で閲覧してね」といったような注意書きも多く見られました。これはWeb標準より、現実的に多く普及しているブラウザで意図したとおりに表示されるという事実や、フレームを使用するなどの利便性優先を選択したに過ぎないからです。
IE8で表示するとページが切れて表示されてしまっている、とあるページ。
ですが、Windowsもこれから Windows7という新しいものに移り変わって標準搭載ブラウザもIE8となりますし、自動更新開始でIE8の普及率の向上も進行しますから、事情も変わっていきます。
UOのファンサイトを運営している方はご自身のWebサイトを是非確認してみてください。せっかくのページで字が重なって表示されていたり、切れてしまっていませんか?
これもある意味Web標準への移行が巻き起こした問題なのかもしれませんが、IEの「お気に入り」やデスクトップ等に保存したインターネット ショートカットからWebページを表示すると、お気に入りに登録した当時やショートカットを作成した当時のフレームで表示していた古いページ構成のまま表示されるという問題があります。
例えば、下の絵のように左右2つに区切られたフレーム構造を採用していたとします。
左側にmenu.html、右側にtop2.htmというページが表示されるというフレーム構造が指定してあります。ですが以前は右側はtop2.htmではなくtop.htmが指定してあり、その後内容を刷新しようと1年前にtop2.htmに変更したという経歴があります。
IE8でお気に入りからフレームのあるページを表示すると古いページが表示される。
ここで閲覧者がお気に入りに登録した時期が問題になります。昨日今日という最近に登録したのであれば、今も正常に右側にはtop2.htmが表示されているはずです。ですが、ずっと以前からこのサイトを訪れていてお気に入りに登録したのが1年前より以前だった場合はどうなるでしょうか?
IE6やIE7を使っていた場合は今も何の問題もなくtop2.htmが表示されているでしょう。これがIE8だとなぜかtop2.htmではなく、お気に入りに登録した当時に指定されていたtop.htmが表示されてしまいます。 つまり閲覧者にとっては古い内容が表示されてしまっている事になります。これではまるで、ずっとページが更新されていないようではありませんか。
どうしてこんな事が起こるのかというと秘密はお気に入り登録、つまりはインターネット ショートカットの中身にあります。
インターネット ショートカット ファイルの中身の例
なんと、登録した「http://www.rainylain.jp/sosaria/」というURLの他にHTMLでフレーム内に表示するように指定したmenu.htmやtop.htmのURLも記録されています。一体何の目的があってMicrosoftはこういう仕様にしたのか分かりませんが、まったくのナンセンスです。フレーム内で表示すべきページの指定はHTMLで書かれているものが利用されるべきで、お気に入りに登録した際に解析したHTMLの内容を強制すべきではありません。
これを踏まえてなのかどうかは分かりませんが、IE7まではショートカット ファイルに記録されているフレームの指定は無視されていました。ですがIE8になって忠実にこのファイルの内容を実行してしまうようになり問題となっています。
さらに問題なのは、新たにIE8で作成したお気に入り登録もやはりフレーム内のページ指定までもが記録されてしまうことです。つまり、今後さらに右側のページを top3.htm と変えたりすると、現在お気に入りに登録した人は将来古くなったtop2.htmが表示されてしまう事になります。
これではフレームが使えません。
最初に書いたWeb標準への移行が起こした問題かもしれないと言うのは実はこの点にあります。Web標準ではフレームの使用は推奨されていないからです。
さて嘆いてばかりでこの問題が解消されるのを待つだけではしょうがないので、対処方法を幾つか紹介します。
【Webページを作成している方向けの対処方法】
【Webページを閲覧する人向けの対処方法】 - フレームを表示しているページでおかしいなと思ったら
後編はセキュリティ面の変更に伴う話をお送りします。
前編 | 後編 |
(記:2009/05/23)